2018年12月24日月曜日

マンション管理への参加意識の低下(高経年マンションの悩み)⑤

 「マンション」貴重な財産です。そして、将来もそうであってほしいです。
 それは、マンションに住む人、住んでなくても持っているだけの人にも共通の希望だと思います。
 でも、「今、価値があれば、しばらく内に売ってしまうんだから、先のことはどうでもいい」、「今のまま、さらに古くなっても、誰か喜んで住む人はいるよ、放っておいていい」、実は多くのマンションの持ち主の方々が無意識で持っている姿です。これが、少子高齢化で住宅の余っている現在、将来に、適切なイメージでないことは、冷静に考えればおわかりでしょう。
 そして、「将来は不動産価格は落ちるのだから、今のうちにいい物件に移りましょう」という、業者さんの都合のいい論理に上手くつながって、そう、多分「価値」は蒸発してしまうでしょう。「負の財産になる」かもしれませんね。でも、「マンションの向かう方向」を決められるのは、そこに住む人の「思い」だけなのです。

 そう、「いいマンションにしよう」という合意ができ、そして、区分所有者、居住者のみなさんの積極的な関りがあるマンションでは、共通の「夢」が生まれます。そしてそれに向かおうとすれば、かなりの確率で実現はできるでしょう。そこは、いつまでも、多くの人たちが「住みたい」と思い、「次世代に受け継ぎたい」と思える、「いつまでも『価値のある』いいマンションであり続けるでしょう。
 では、「誰かがやってくれるから…」と思っている人の多いマンションでは?そうです、ある程度具体的な「夢」も生まれません。誰も努力はしてくれません。外からも「あのマンション、面白いから住んでみたい」と言う人もあまり生まれません。その後はどうなるのか?まあ、おわかりですよね。しばらくは管理会社の貴重な収入源になり、そして、不動産業者の道具に使われて…、そう、最後は「お荷物」ですよね。

 「前者になるマンションがどこか教えてほしい、そこを買うから」実は、多くの人は考えています。それが実体です、が、今まで書いた通り、そんなことは何も決まっていないのです。どのマンションも「前者になるチャンス」があり、そして「後者に落ち込むリスク」も持っているのです。
 現実は、この方向を決めるのは、今そのマンションを持っている「あなた」だと言う事です。もちろん、一人でできる事ではありません、「合意」があって始めてできるのですが、「合意」のもとは「採決」ではなく「提案」から始まっていくのです。そして、「合意」を作るための世代を超えたコミュニケーションの基盤、そこでできた「議案」を総会で可決できて、そう、「実現」していくのです。「トライ」しないところに「実現はない」、何も提案も努力もしないマンションにバラ色の「夢」があるところはなく、団結して「夢」を追える環境が将来を作っていく、これが、特に高経年マンションを維持するための現実なのです。

2018年11月2日金曜日

マンション管理への参加意識の低下(高経年マンションの悩み)④

「古いマンションだから仕方ない」「若い人たちは管理に興味がない」、高経年の精いっぱい頑張っておられる高齢の役員さんたちはよく言われます。そして、多くの場合管理コストを下げるために、そして自由になる時間が多少ともあるので、役員の仕事をどんどん増やして、本当にマンションの将来を考える暇を無くしてしまっています。
そして、結果として目先(今後2~3年先)の管理コストをカットしようとさらに考えます。そして、他のマンションとの情報面の交流も負担に感じて閉じようとしてしまいます。そして、同じように出口のないトンネルに入ろうとしてしまいます、これが感想です。そして、落ち着くところは、「このマンションもみんな高齢になってしまってしまったから、自分が生きている間だけ維持できればいい」となってしまうのです。これは、問題の先送りで「次の世代に大きなコストの負担を先送りしている」とか「若い世代が寄り付かず空家が増え維持ができなくなる」という将来につながってしまいます。

実際は、多くのマンション(団地)の場合、役員の皆さんは高齢でも、区分所有者、住民の皆さんは決して高齢者ばかりではありません。高齢化率が全国平均より少し高いくらいで、若い子育て世代の方も相当数住んでおられることがほとんどです。ただ、高齢の役員が活動をされる平日日中には顔が見えないだけなのです。
では、必要なことは何でしょうか。そうです、高齢の役員の皆さんが、そのマンションを買われた時、そう現役でバリバリ働きながら、大きな夢をもってマンションの管理運営を行っていた時代(というか、それを見ていた時代かもしれません)を思い出すことが必要です。日中にいろいろ雑用をやってくれるお年寄りはほとんどいない、仕事の合間を縫って、「少しでもいいマンションにしていこう」と、いろいろと活躍された時代です。入居して、まずやられたことは、少しでも仲のいい仲間を見つけ、このマンション(団地)の将来を、飲みながらか語り合うことだったはずです。そして、そこから、管理に参加しようかなという意識につながっていったはずです。

マンションは、区分所有者、居住者の皆さんの多くが、積極的に管理に参加することでのみ活性化でき、「将来」を夢見ることができるのです。「管理に参加」と言っても、別に役員の活動を頑張ることだけではありません。近所の人たちと、住んでいるマンションの環境や将来性を少しでも話し合えて、そして広報や総会議案に目を通し、積極的な意識で総会に参加する、あるいはちゃんと議決権行使書(委任状ではありません)を提出すること、これから始めればいいことなのです、あるいはできる環境を作ることです。それが、サークルになり、研究会を作り、そして、その核となるメンバーが将来の役員候補になっていくのです。時間はかかります。最低5年先を考えてください。それを、「抽選で、輪番で役員は出てくるから心配はいらない」とか言っているから次世代につなぐ管理の後継者が育たないのです。そして、「若い人は興味がない、好きなようにやらせればいい」と言って逃げて行こうとするから今の姿になってしまったのです。

とはいっても、何もしなければ解決はできません。やることは、まず、マンションの中に、若い世代のファンを作り増やしていくことです。積極的なアプローチが必要です。紙の広報を配布しているだけではいけません。それから、そのマンションの大きな「夢」を作ることです。10年先ではなく最低30年先かそれ以上です。「目標」と書くと平然とマイナスにしてしまいますが、そうではなくできるだけポジティブな、ほんの少しだけ叶いそうな「夢」でいいのです。ここから始めれば、少しずつ、賛同する若い居住者が増えてきます。そして、ネットなどで外に「ここはいいマンションです」と積極的に配信してくれます。これがスタートです。
この先、どうするかは次回にして、今日はこのあたりで…

で、もし、この初動ができなければ?マンションのスラム化のリスクが大きくなっていくだけです。

2018年10月7日日曜日

マンション管理への参加意識の低下(高経年マンションの悩み)③

まえの投稿から、少し時間が空きましたが、復習も含めながら続きです。

「マンションの管理は、そのマンションの中で時間の余裕のある人だけが行えばいい。そして、作業はできるだけ費用を押さえるために自分たちの手でやるほうがいい」これに、「自分たちのマンション(団地)を一番よく知っているのは分譲当初から住んでいる自分達しかいない」
高経年マンションで、「後継者問題」というか、役員のなり手不足、総会の参加率(委任状を含め)低下に悩む高経年マンション(団地)の多くで、まことしやかに現役員の皆さんが語られていることです。
更に次の言葉が加わることがあります。「他の団地も苦労しているようだがあまり成功例はない、わざわざ話を聞く必要はない」「自分たちのマンション(団地)のことをあまり外で話すと値段が下がるから外には話すべきではない」もっともらしい言葉ですが、少し冷静に考えるとこれが詭弁であることはすぐわかりますよね。この言葉、結構長年付き合っている管理会社の担当者から焚き付けられていることもあるようですが。
確かに、これから1~2年のことを考えれば、非常に効率よく、コストパフォーマンスもいい管理の活動の仕方であるとは思います。しかし、これからさらに30年~50年そしてそれ以上をマンション(団地)として継続させていくことを考えた時に、正当な事でしょうか。例えば、今70歳の理事長さん。50年後の自身のマンションの管理の先頭に立ち続けられるのでしょうか?これを突いた時には、少々不機嫌に、「その時は、その時の組合員達のいいようにやればいいんだ!」と返ってくることがほとんどです。

愚痴をこぼしてしまいましたが…
これだけ見れば、問題点の所在と解決方法、見えてきませんか?
特に後の2例、「他のマンション(団地)では、真似をするような成功例はない」と「自分たちのマンション(団地)の話を外でしたら価値が下がる」、これは悪徳不動産業者の喜ぶ話です。高経年マンションの再生検討事例、相当積み上がってきています。成功事例は確かに少ないです、そしてその継続が出来ているところも本当に限られています。そう、そしてその事例は到底真似ができないほど高尚ですね。一方で、他のマンション(団地)との交流を持たないところでは、実は、同じような課題が解決できないで再生検討が行き詰っています。
そうです。大事なことは、「できるだけ多くの、いわば失敗談を集め、そして、同じことはやらない、少なくとも自分のマンション(団地)に適合した方法(取り組み内容)に変えて挑戦してみる事」ですね。そう、失敗談を交換できる、相当深い交流ができるマンション(団地)がないと実現できません。
「情報を隠したらマンション価値が維持できる?」冷静に考えれば、本当にばかげた論理ですよね。マンションの価値(値段)が上がっていくのは、簡単に言えば、そのマンション(団地)の部屋を買いたい人が、売りたい人を上回っている時ですよね。そして、「買いたい」人は多くがマンション(団地)の外の人ですね。いいことも悪いことも含め、情報がないマンション(団地)を進んで買おうという殊勝な人たちが本当に居るのでしょうか。住宅が余っている現代、少なくとも「そこに住みたい人」は手を挙げませんね。そうです「情報を発信できるマンション(団地)」しか、これからは価値を維持し、そして引き上げていけないはずです。そうです、それも、ネガティブ情報を上手に脚色でき、それをもメリットに変えられるような(もちろん自虐ネタにも見えますが)所でないといけません。高経年マンションには実は強い味方がいます(使い方ですが)。そうです、そのマンション(団地)で育ち独立していく若い世代の住人達(元の住人を含む)です。彼らに、ちゃんとマンションの管理手法を伝授しておけば、本当にそのマンション(団地)の強力なセールスマンになってくれるのです。
現在の高齢の区分所有者が、そのバックのなるハード面を中心に精一杯維持とランクアップに努めていくことは欠かせないですが。それも「自分の生きている間」ではなく「30年後も時代の先を行く機能とデザインで」なのです。これがしっかり噛みあったマンション(団地)はきっとあと100年、200年と継続していけるでしょう。

今日はこの程度にして、つづきは次回に書きます。

2018年9月28日金曜日

マンションの長寿命化と給排水管設備

最近、給排水管設備の改修に関する研修会にいくつか参加してきました。

8月28日 第40回千葉市マンションセミナー
9月16日 千葉市マンション管理組合協議会 第21回建築・設備問題研修会
そして昨日 マンションコミュニティ研究会 第63回勉強会

どれも、マンションを適正に維持していくためには、専有部分の配管や給湯管も含めて、マンションの設備の改修を適正に行うことが鍵になる。と言うことでした。

「お金がないから」「合意が難しいから」、ひどい場合は「外から見えないから」…、自分が役員の時は黙って何もしないで、とりあえず次の役員に送っておけばいい。
これが何年も続いて先送りさせている管理組合も多くあるように感じます。
間違いのないこと、配管の劣化は止まってくれません。そして追い込まれた時にはもはや手に負えなくなってしまう。なんだか「癌」のようですね。
そう、早期発見、早期対応が、結果的にコストも最少になり、マンションの将来につながります。そして、「専有部」、「個々の区分所有者が勝手にやるからいい」では、常識的に半分以上の区分所有者が手を付けず、事故頻発から資産価値の低下につながってしまいます。まあ、わかって管理しているマンションの結果であれば自業自得と言えますが、多数の管理組合は、そして区分所有者は、ほぼ意識していないようです。

「千葉市セミナー」では、給排水管の更新工事を行う時の、特に専有部工事を伴う時の留意事項や、管理組合としての合意形成や、工事の進め方。(講師は藤木亮介先生、マンション改修設計の実務では最先端の取り組みをされています)

「建築・設備問題研修会」では、マンションが計画的に修繕工事、再生工事を行っていくうえでの、計画への折り込み方、必要となる工事(工法等)の選択、そしてその工事の準備(合意)のこと、これらについて調査事例を通じた詳しい解説(講師は山本育三先生、言わずと知れた、マンションのハードの問題に長くかかわられた、長年実務面での第一線に立たれている研究家、建築家です)

「コミ研勉強会」では、築30年未満のマンションの設備改修の課題について。素材の管材の進化の過渡期にあったマンションの留意事項と、工事を行う上での諸注意事項。(講師は町田信男先生、数少ない実務に詳しい設備建築士です)

マンションの長寿命化を成功させるには、鍵は給排水管を中心とした設備をどう適正に行っていくか、そしてそれは共用管だけではなく専有部内の配管(通常ここまでしか目がいかないですが)、そして、それにつながるキッチン、バス、トイレの設備を、どうきちんとリニューアルしていけるかにあります。共用管と一体の工事ができる専有管の改修は、管理組合の適正な計画的な取組が必要ですが、専有部の機器になると区分所有者の皆さんへの動機づけが必要になってきます。そして、十分すぎるほどの準備の時間も必要です。

「管理組合は専有部には触れられない」正しいようですが、実は、専有部に対しては「必要で区分所有者にとって有利になり得る情報をきっちりと提供すること」が重要になります。そして、選択をしてもらうことです。専有部でも劣化対応を行わなければ事故につながるものはできるだけ一体で、管理組合が主導して行われなければなりませんが、やはり各区分所有者の権利と利益、そして選択の自由は、他の区分所有者に損害を与えない限りにおいて尊重されなければなりません。
大変ですが、黙って先送りしていてすむことではありませんね。

マンション管理では、大事なのはいつでも相談に乗ってもらえる専門家(できれば外部がいいですね)がいる事です。でも、誰がいいのかわからない、こんな時には近くのマンション管理士に、というのも選択肢です。




2018年9月4日火曜日

9月16日(日)建築・設備問題研修会、開催します

高経年マンションの給排水管等の設備の問題、結構大変です。

専有部、共有部の区分と取り扱い、専有部の室内立入工事の問題、素材と工法等の工事実施時のことに視点が向きがちですが、マンションを長持ちさせるには、マンションごとのビジョンを持った計画的な対応が必要になります。この工事もついコスト重視で「現状維持」とか「最低限」とかを考えることが多いのですが、住環境に直接かかわる問題なので、やはり現在の生活に会った最適な環境を作る必要があり「ランクアップ」は必須であると思われます。そうしないと、長期的に見れば人が住まなくなり、価値も大きく下がってします。

また、マンションの修繕工事、共有部分だけをよくしても、各戸の専有部分もちゃんと改修できなければ80年マンション、100年マンションにはなりません。高齢者のわがまま「自分の生きているうちだけ」は絶対許してはいけないのです。どう考えていくべきか…

ということで、千葉市でのセミナーのご案内です。

9月16日(日) 13:30~16:30、 千葉市中央コミュニティセンターにて
第21回建築・設備問題研修会 (千葉市マンション管理組合協議会主催)

テーマ : マンション長寿命化のため、配管、配線類更新の考え方と管理組合の進め方
講師 : 関東学院大学名誉教授 山本 育三 先生

参加費(資料代) : 300円 (非会員のみ)

です。
参加しております日本マンション学会の研究委員会で日頃からお世話になっております
山本育三先生の貴重なお話をうかがうことができると思います。
(本研修会では企画、運営にかかわっております、よろしくお願いします)

詳細、申込等は、以下リンクより…
http://chibasi-mankankyo.a.la9.jp/index.html


2018年8月30日木曜日

(先週は)第37回北団地夏祭り

シリーズものを書こうとして、少し休んでしまいましたが…
この続きは次回以降にして、18日、19日の恒例の「北団地夏祭り」について

18日(土)、19日(日)わが、稲毛高浜北住宅(高浜北団地)では、恒例の第37回北団地夏祭りを開催しました。高齢者が増えてきた団地では、2日間フルに利用した夏祭りを団地だけで催行することが少し重くなりつつありますが、多くの住民の皆さんには、これがかわいい孫たちが団地に戻ってくる大事な行事であることには変わりありません…。

私は、今年も実行委員の一人として、2日間本部の進行係として、マイクを握り、神輿にも参加、2日目夜にはかなり参ってしまいました。(年のせい?)

と言うことで、書くよりも写真をいくつか…

           (山車と出店の風景)


           (進行係、これを2日間とも)

           (恒例の神輿巡行では)



           (抽選会の司会です)

  こちらは、また来年もこの時期に開催予定です。




2018年7月9日月曜日

マンション管理への参加意識の低下(高経年マンションの悩み)②

築30年~40年の高経年マンションの人材不足の問題を、最からの区分所有者が皆さん年を取ったから、「そのメンバーの中のまだ元気な人でどうしても役員をやらなければ、管理のための諸作業も管理費コスト削減のためにできるだけ自分の手でやらなければ、最近の若い人は積極的に管理に参加してくれないし、顔も見えないから…」、よく聞こえてきます。その意気込みは素晴らしいことですが、あと10年後、その方針は続けられますか?

多分難しいですよね。この話をすると、一言帰ってきます。「その時の区分所有者で自由に決めてやればいいのだから、そこまで責任はないよ」、多分言われる方は善意で言われているのでしょうが、大丈夫でしょうか?少し考えれば、不安ですよね。でも「人材不足だから仕方ない」と多くの役員の方は納得してしまっています。少し気にする人は、次の役員の人員がいない、どうしよう、と募集しても実際誰も手を挙げなくなって悩んでしまう。これが現実でしょう。

「高経年マンションの区分所有者、居住者は高齢者ばかりしかいない」というのは本当でしょうか?もちろん該当するマンションは「0」ではありません。ですが、多くの築30年以上の高経年マンションでは、入居者を調べてみればわかるはずですが、おそらく当初分譲からおられる区分所有者は全体の半分以下、1/3位のところが多いと思います。途中から入居された方には、実際には若い世代の人の方が多いと思います。また、古くからおられる方でも、まだ同居(近居)されているお子さまもそれなりにおられるともいます。ご家族も含めた区分所有者という目線で見れば、結構若い世代の人も多く1/2かそれ以上になると思います。でも、お年寄りの役員さんの顔見知りの人というう点では若い人はいないという答えになってしまいます。管理の中心となるべき「後継者」ということでは、確かにすぐ次期からやれる人は少ないでしょうが、将来の候補者としては結構な数おられるはずです。そう言っても「今の若い人は忙しいし興味がないから…」と逃げてしまいます。これが現実ではないでしょうか。

「後継者」の問題は、いま多くの中小企業でも問題になっています。これは、多くの場合創業者の頑張りすぎで、次世代の経営ができる人材を、多少コストと手間をかけても養成してこなかったことが主因です。本当に継ぐべき子供も若い従業員もいないという会社もあります。が、これは適切に人の採用ができなかったからです。でも、一般の企業では廃業も、会社の売却もある意味簡単にできますね。高経年マンションも「役員のなり手不足」の要因は同じです。「分譲時入居世代の頑張りすぎ」がそうでしょう。「マンションは違う」というのは、もちろん「営利目的ではない」ことですが、後継者がいないという問題に関していえば、この点は関係ないと思います。もっと重いことで、簡単に廃業(解消)できない、当然売却はできない、もちろん破産も選択肢ではないですよね。そうです、「誰かが経営を続けていかなければならない」という点です。で、安易に外部のそのマンションをよく知らない人に任せられますか?

マンション管理の「後継者」の養成、実はコミュニティの問題そのものです。当然1年2年でできるものではありません。では「高齢者の役員」の皆さんが自覚すればいいだけでしょうか?そうかもしれませんが、今まで10年20年できなかったことがそんなに簡単にはいかないでしょう。居住者の世代や意識の多様化も進んでいます。多くの高経年のマンションでは差し迫った問題になっています。
そうです、「発想を変えること」と「外部のいろいろな立場の力を借りること」が必要でしょう。「今まで通り頑張る!」と意地を張らず、冷静、柔軟な姿勢が必要でしょう。そうすればきっと若い世代の人達も気づいてくれると思いますが

ということで、次回は少し具体的に…         <では、続きを…>

2018年7月5日木曜日

マンション管理への参加意識の低下(高経年マンションの悩み)①

高経年の昭和の団地を中心に、役員のなり手不足、総会参加(委任状を含む)率の低下、気が付かないうちに進行しています(悩んでいるマンション(団地)も多数です)。
確かに、区分所有者(居住者)の高齢化は進行しています。ですが、若い区分所有者、あるいは区分所有者の家族など、実はまだ結構、住んでおられるようです。実数としては子供を含めると50%くらい、少ないマンションでも1/3以上と思います。でも彼(女)達は確かに役員に手を挙げたり、団地の中の活動に積極的に参加している例は少なくなっているのが実情だと思います。

「昔の新規分譲時にはお年寄りの区分所有者はほとんどいなかった。だから忙しいのに自分たちが頑張ってこの団地を作ってきたんだ、今は、第1線を引退したので時間ができた。体が動くうちは頑張るよ」今の団地の高齢の役員さんたちは口をそろえます。「前から、建替えは難しい、この団地は70年、80年を持たせる計画は立てている、大丈夫だ。」とも。でも、実際これでいいのでしょうか。実際に話を伺えば、家庭は年金収入が中心の高齢のご夫婦2人、お子さんは新しいマンションを買って独立している。この団地の管理費用は子供に負担はさせたくない。10年後はもういないだろうな。と一方では平気で話されています。これで、これから30年から50年の長期の計画を、何を目指して実行しているのでしょうか。本音は「現在の費用負担と労力の負担を押さえつつ現状維持を目指す」でしかないことが多いとしか言えません。そうするとどうなるか?

建物は80年いや100年維持できるかもしれません、が、現在の生活環境にマッチしてない住宅、特に若い世代が積極的に住み続けたいと思うでしょうか。そうです、冷静に考えれば、住みたい人が少なくなれば必然的に空家は増え、資産価値は下がり、居住するのは他に移れない人だけになってしまいます。地方の限界集落をみればわかりますよね。そう、所有権の実質放棄です。マンション(団地)では結局最後に残った人たちが、大きな「負担」をすることになります。そして、その「負担」は今の法律等の枠組みでは、将来の利益につながることもなく、また、逃れることもできないものなのです。

では、どうしたらいいのでしょうか??     <次回へ>

2018年7月2日月曜日

3月頃~6月、会計担当の役員等として管理組合をはじめ、いくつかの会計事務の処理、報告等で目が回っていました。
「決算」は重要だし、「これが丸くおさまると安心」ということは理解されている通りです。
ですが、どこでもというわけではないでしょうが、どうも担当以外の役員(理事、監事)の皆さんが、「会計のことはよくわからない」という姿勢を取られることが多いように感じられます。まあ、やっていることが株式会社じゃないので収益のことは考えないで済まそう、ということで、とりあえず納得できないところがあっても来年度に送っておこう、とか、今年度は担当の予算を余らせたので十分に成果があったと強調する、とか。そして、監査では、預金等の残高のチェックと、支払証憑の確認だけで終わってしまう。そして、総会に流せば、現金主義と発生主義の理解もないまま、通常は承認されてしまう、ということから、一つ二つ手続的に根拠のあまりない難しいコメントを残して「仕事をした」と考えているようです。
団体として、組織として、マンションとして、「持続」と「長期的に将来の費用等の負担を抑える」ことが重要なのに、これでいいのでしょうか。考えさせられてしまいます。
管理組合などでは、一般的に長期の収支計画を立てれば大きく不足することが多いでしょう。そして、収入増加要因はあまりありません(基本的に管理費等の値上げになることから消極的になりやすいものですので)。これを戦略的にするのが会計担当者の仕事であって、そこで最も大切になるのは「予算」であって、計上の根拠となるのが前年度決算の内容なのですが。役員全員、もっと考えて(会計の考え方の基本がわからなければもう少し学んで)ほしいです。マンションであれば、役員だけでなく区分所有者の大半がそうあって欲しいのですが。そうしてはじめて、マンションの居住者全体に「夢」が生まれ、将来の資産価値の維持向上が図れるのでしょうから。

2018年6月25日月曜日

6月18日の大阪での地震、1週間が経ち、被害の全貌が見えてきました。
被災された方には心よりお見舞い申し上げますとともに、被災されなかった方にも、
仙台や熊本、かつての神戸とともに、マンションの震災対策、見直す機会にしてほしい
と思います。

今回は地震の規模のこともあり、マンションについては多少ひびが入ったり
エキスパンションジョイントの落下等がみられるものの、
致命的な事例は無いようです。ガスとか水道とかのライフラインについては
事情は異なるところがありますが。

今回は、発災の時間が出勤時と重なり、エレベーターの停止による
閉じ込め事例が多く発生していました。幸いにも当日の午後までには
閉じ込められた皆さんも外に出られたようで(エレベーターそのものが当日中に
復旧したわけではありませんが)まずは大きな問題にならなかったようです。

マンションの震災対策、必要性はわかっていてもあまり進んでいません。
対策マニュアルは自治体などのアドバイスでよういされたところは多いようですが、
過去の事例でも、それが機能したという声は聞こえてきません。
多くは実権者の不在などで対策本部の立ち上げもできず、たまたま集まった
居住者の方で、被害状況の確認と安否確認を始めるも、情報の管理(整備)の
事情からなかなか把握できないで、というようでした。

震災は、過去の事例とほぼ同じことが将来起こるというものではないようです。
あくまでも過去の例は参考で、マンションでは何があっても、特に初動の対応が
できるような仕組みを作っておくことが必要です。たまたま過去の理事長経験者や
担当の理事経験者が数人在宅していればその場は問題なく進むのでしょうが、
それでいいのでしょうか。必要なのは区分所有者、居住者の皆さんで日頃から
よく話し合っておくこと、そして、刻々とマンションの状況は変化していくので、
状況(実態)が把握できる体制をつくっておくことです。そのためには、管理組合、
あるいは自治会と各居住者との間、または居住者の皆さん同士で、緊急時には
すぐに連絡を取り合える環境が欠かせません。
自分が「弱い」から使わない、できない人がいるから無駄だなどと言ってネットの
環境づくりを拒む組合もあります。しかし、まず考えることは必要ですね。
エレベーターで閉じ込められても、今は一般にスマホで連絡も取り合えます。
もちろんマンションでのルールが整備されていればの話で、そうすれば、当然
救出されるのも早くなりますね。また、仮に理事長が地球の裏側にいたとしても、
初動対応の陣頭指揮もとれるようになりますね。

まあ、自然は私たちに「考える機会」を与えてくれているのだ、と理解し、
「次」におこる事態に対応できるようにしておきましょう。今はそのための情報は
あふれていますので…
6月17日、恒例の千葉市新任役員研修会でした。
今年は20以上の組合から50名以上の参加がありました。

気になるのは、新任でも皆さんかなり先輩の方がおられるようで、
役員の人選にはかなり苦労されているのかなと思います。

今年も40分の時間をいただいてしゃべらせていただきました。
テーマは「新任役員の心得」(このところ同じです、が内容は刷新しています)
10分ほどのミニワークを挟んで、
管理組合の役員をやるなら 「楽(らく)しよう」ではなく「楽しくやろう」
ということ、「マンションの外に多くのネットワークを持とう」ということ、
そして「管理は素人でも、生活とマンションの所有には素人と言って逃げることは
許されない」と…

それから、中小企業経営とは違ってマンション管理はM&Aで逃げられると
いうものではなく、継続するためには「後継者の育成」が重要になると。
高齢化は進んだといえ、高経年マンションでもまだ半数ほどの住人は
若いはず。なのに顔が見えないだけ。そして「区分所有」の意識(権利と義務)に
あまり興味がなくなっている。まあ、当たり前な話で「教わったことがないから」
長年マンションを引っ張て来た役員経験の皆さんが子供世代に苦労は
かけたくない気持ちはわかるけれど、苦労を知らないことが将来どうなるのか
ちゃんと考えて欲しい。
このようなことを話してきました。

マンションを持つことは、「夢」を持つことでなければ、
「不安」だけ考えていたら必ず「不安」が的中してしまいます。
そんなことがないように
「管理」には、柔軟な発想と、前をそして上を向く姿勢が大切です。

2018年5月22日火曜日

5月18日~20日、日本マンション学会学会に参加してきました。
今年のメインシンポジウム、テーマは「郊外型高経年団地の再生とストック活用」、高経年団地が今後元気に生き残るための様々な可能性と課題についての検討でした。合意、費用、ハードの維持管理、そしてコミュニティ、様々な障害は考えられるけれども、そのマンションにしっかりとした長期の展望と、環境をよくしていこうという強い意気込みがなければ、そして自分で「決められる」体制ができていないとどうしようもない、というのが印象でした。でも、現実の高経年マンションは、ついつい「できない理由」を探して逃げ、それでも現状は維持されるという幻想にすがっている気がします。大丈夫でしょうか…
20日は、第6分科会で発表。「韓国における住宅金融制度の実態とマンション管理」、日韓の住宅金融制度の実態の差をみながら、やはりマンションの長期的な安定した管理を行うには、法制度だけでなく経済的な基盤(管理組合、各区分所有者とも)がキーとなる事、そして基盤整備にかかる課題と提案を含めて話しました。(時間はわずかでしたが…)
あとは恒例の見学会。参考になりました。さすが北の都のマンションは違いますね。


2018年5月14日月曜日

HP公開しました。
マンション管理で悩み事がある方は…

http://mt-office.biz

です。よろしくお願いします!

2018年5月12日土曜日


617日、千葉市新任役員研修会(千葉市マンション管理組合協議会、千葉県

マンション管理士会、等主催)です。例年通り40分程の講演を予定しています。

会場:千葉市中央コミュニティセンター、13:00

518日(金)~20日(日)に日本マンション学会北海道大会が開催されます。

メインシンポジウム(19日)のテーマは「郊外型高経年団地の再生とストック活用」です。



翌日20日に行われる第6分科会での報告を予定しています。

内容は「日韓の住宅金融制度の実態と今後のマンション管理への影響」について、

いろいろ調べてみて、目からウロコという状況でした。



2018年3月30日金曜日