2020年8月31日月曜日

老朽化かビンテージか?高経年マンションの将来

 前回、滋賀の老朽化マンションの行政による代執行の完了について触れました

確かに、アスベストの問題はあったかもしれませんが、

築40年以上のマンションでは、決して他人事ではありませんね


40年以上の高経年マンションに住む人たちの「高齢化」は

間違いなく進行しています。特に区分所有者の高齢化(65歳以上の割合)は、

余程立地の良いマンションでなければ、単純に経年数に%を付けたより

多くなっていると思います


一方で、「このマンションは80年は建替えせずにしっかりと維持していこう」と

例えば総会で決議したとしても…

70才の区分所有者でお子さんはもう独立し、自分の居を構えている、としたら、

この区分所有者の人は、現実に自身のマンションの40年後の姿を

思い描き、そして、何かを期待することができるでしょうか


当然、「あと10年から20年ここに住めれば…」ですよね。

そして、そこが空家がポツポツと出始め、売り物件がなかなかまとまらない

という状況になっていたら…

正直その区分所有者にとっては、「正直30年先はどうでもいい」でしょうね

さらに、年金受給の方も増加していますが、

その方々の収入は、当然に「現役時代の6~70%あればいい」ですね

まだ働ける方は、それなりに時間とお金がありますが、

少々体が弱ってきて、あるいは一人になって遺族年金だけでとか

そうなった時の生活の設計はどうなるのでしょうか…

単純に「修繕積立金の値上げ」には反対、一時金は「払えない」の一言ですよね


この状態で、これからお金をかけて、「窓サッシを更新しなければ」

と言っても可能でしょうか。もちろん、前に作った長期修繕計画には

折り込んでありますよ、5年後に戸あたり50万円の一金で、とか…

ということで、この実現は可能でしょうか?


確かに、「お金を借りてきて実施する」という選択肢はありますが、

そのあとの修繕積立金の積立予定が、返済をまかなえるだけなければ

現実には工事の実施は不可能ですね


そして、これをいくつか繰り返したら、

残念ながら「管理不全マンション」の仲間入りですね

それも間違いなく、多くの高齢の区分所有者の皆さんが生きておられるうちに…

最悪は、危険建物として行政の行政代執行による撤去

区分所有者の方々は結果路頭に迷われることにも…


さて、これを避けるためには、

マンションで、自分たちがちゃんと話し合って、責任を持って

「管理」を行わないといけません。「楽(らく)」ではなく「楽しく」

そして、20年後30年後でも、少なくとも「流通ができる」

マンションとして維持しないといけないのです

そうすれば、処分もできますし、採算を見込んで、

既に自分の家を持たれているお子さんでも、引き継いでくれるでしょう


では「そのためには何が必要か」と言えば、

「合意」とは言いますが、現実には「将来の財源」の確保以外にはないでしょう。

資金のメドが立てば、「健全な維持を行うための改修工事」への合意は

容易にできますが、もし不足額が大きければ…

「幻」ですね…

ここでどのような考え方が必要になるのかは

次回の記事で書きたいと思います。


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