2021年5月4日火曜日

高経年マンションの持続性について③

 高経年マンションをより長く快適に暮らして行けるようにするためには、

そして、そのマンションの管理組合活動を「楽しく」していくためには…


この課題は、残念ながら、1人1人の区分所有者の方が、

じっと待っていたり、普段の役割があっても「めんどくさい」とだけ

考えていても、残念ながら昨日より良くはなりません。

また、管理会社が、何か良い提案も持ってきてくれるのを待っていても、

「待ちぼうけ」になって、請求されるものは払わないといけない

という状況になるだけです。

そう、これは人間で言えば「うつ症」の状態と言ってもいいでしょう。

放っておけば、最悪は?

まあ止めていきましょう。前回等で書いたことのくり返しになりますから…


しかし、目先の問題は、役員のなり手がいない、

お年寄りのお宅で滞納が発生し、請求しても取れない状態になって、

規約を考えていても、総会で3/4も委任状が集まらないから

改正もままならない…

まあ、いきなり明日からよくなる方法はありませんが、

でも「待っている」だけでもいけません。

「何か」を「誰かが(一人だけではなく)」始めるしかないのです。

そして、あまり気力がない区分所有の方が、この始めた活動を

安易に潰したり、否定したりすることを防がないといけません。

それから、こういう動きに対して、

そして、戸あたり月1,000円位までの資金を、無駄だと思わないで、

自由に使えるようにしてあげるという意識です。

(もちろん使い道は後で検証はする必要があるけれど、

別に「無駄」に見えるから、すぐに切ろうとしない、ということです。

そして、これは別に使い切ることを目的にはしていません…)


まずこの環境がなければ、多くの区分所有者の方が、

「組合員全員の利益」を、「長期的に」考える、ということが

できなくなってしまいます。


それから、何かのイベントの企画です。

別に、お祭りや飲み会のことではありません。しかし、

その小さな活動が始まった時に、飲み会や、お茶やお菓子が

ついていくことを安易に否定しないことです。

(この「安易に否定」する人たちには、ある一部の、

組織的にマンションの活動を牛耳って、

できれば皆さんの資金をその(部外の)組織に上納することを考える人がいて、

あたかも熱心なボランティアのように活動する人たちが

リードすることがよくあって、それが真っ当に聞こえるもので

ハマってしまうことがあるようです)

そして、一つではなく、いろいろな、それも小さな試みから、

そのうち、に絞って…

そして、そのメンバーのみなさんが、フランクに、

将来(5年後、10年後、20年後等、いくつかのラインを設定して)の

マンションの目標と方向性を話し合える機会を自然に作ることなのです。


昭和の時代に、公団分譲の団地などに入られた方々は、

皆さん自然にの活動をされていましたが、

子供が巣立って行ってしまったら、なんだか忘れられたようで…


でも、どういう環境のマンションでも、この時の意識が

実は重要で、この活動が重くなったり、軽くなったりしています。


そして、いろいろな、「将来を話し合うグループ」ができれば

その次に、いろいろな展開が考えられますが、これは、この次に…


でも、今のこういう活動への入り口は…

簡単なのは「防災」と「子供」ですが…


2021年4月3日土曜日

高経年マンションの持続性について②

 前回、特に高経年マンションを中心に、

住環境や費用負担の問題で、長期的な展望が出来ず、

結果的に管理組合運営に真剣にかかわれなくなっていることに

触れましたが…


マンションを、これから30年40年と維持していこうとするには、

そこに住む人たちの多数(過半数では足りなくて、2/3以上位)が、

自分達が暮らすマンションに誇りを持ち、そして、積極的に

住環境を改善していこうという意欲と、

そのためには、管理組合の運営に積極的にかかわってもいい

という前向き、というか「共助」意識の基礎を持つことが必要です。


マンションの将来のことは、管理会社が適当に決めてくれるから、

自分達は目先の苦情だけ言って、あとは個人の目先の負担軽減だけを

考えればいい(この負担は必ずしも金銭的なものに限りません)、

というところにベースがあります。

そして、残念なことは、このベースの意識が、

その時々の輪番の理事長が、目の前に出された、誰かが作った契約書に、

黙ってハンコを押してしまうことにつながるのです。


その結果、修繕積立金の大幅な値上げなど、

区分所有者のみなさんにとって苦痛となる議案が

総会で多数の委任状に従って、賛成多数で簡単に可決されてしまうのです。

もともと多くの区分所有者の方は、総会議案なんかは

真剣には読んでいませんから、

そして、前の輪番の理事長さんは、

議場で初めて、その議案の持つ重要な問題に気がついても、

現実には、ここに上程されたことへの責任を負うことが嫌だから、

管理会社側の言いなりで、平穏に可決し、役員任期を終えようと

考えてしまうのです。

別に、人間として当然の行動なのですけれど…


当然ですが、区分所有者の中に、将来管理組合の理事に

積極的に手を挙げていいかな、と考えている人がいたら、

こういう総会に出席したら、

多分、その組合の役員に…

という意識は瞬時に飛んでしまって、ここにいてもしょうがないと

感じてしまいますよね。

もし手元に資金があれば…

急いで他のマンションに越して行こうというように

考えるかもしれません。


この傾向が、たとえば10年続いたら、

そのマンションの将来は、「管理不全」化が

ほぼ約束されてしまいます。

そして、住民の多くは、ウチは、管理会社がしっかりしないから、

仕方がないんだ、とあきらめて、

あるいは、敢て次の役員に立って、管理会社を強引に

替えてしまおうという運動起こしたり…

でも、組合員の意識がはっきりしない管理組合の業務を、

どんなに素晴らしい管理会社が引き受けたからと言って、

ほぼ各組合員が求めている条件や価格を飲んでくれる保証はない

というか絶望的な期待になってしまいます。


そして、多くの区分所有者の不満と絶望に繋がってしまい、

管理組合内での変な勢力争いや、さらなる責任放棄に繋がったり、

より深刻な事態に進んでしまうのです…


このような状況に陥らないためには、

各区分所有者の皆さんに、管理組合の活動に積極的に

加わってもらうしかないのです。

私のようなマンション管理士としても、

「良くなりたい」という意識と、ある程度の方向性を示していただける

マンションでないと、支援することは困難になるのです…


では、マンションの中で何をすれば、

それは、「管理」の問題に取り組むことを

「楽しい」こと(決して「楽(らく)」に、ではなく)に

していくことなのですが、

ここからは次回に…






2021年3月7日日曜日

高経年マンションの持続性について①

 高経年で居住者が高齢化したマンションの

今後の「持続」というか「継続性」の問題が次第に重くなっています。

建物設備の健全な維持の不安、役員のなりて確保、

高齢者の見守りや居住する子供のケア、

そして災害時の対応など、一番大きいのは維持費用の負担の増大…

このあたりの2~3つに当てはまるようだと、

今問題になっている「管理不全マンション」あるいはその予備軍と

なってしまいます。


ただ、多くのマンションでは、このような課題について

任期が1~2年の理事会で、一つづつをそれぞれ別の課題として

捉えて論議したり、あるいは、管理会社の提案を待っているだけだったり

という状況になっています。また、費用負担の問題については、

ただそれぞれの区分所有者の問題であって、管理組合では

一定割合の区分所有者にとって無理な負担であっても

ただ値上げの総会決議を通しさえすれば、と安易に考えています。

多くの管理会社も、この方向に走る管理組合を後押ししているようです。

そして、ここの区分所有者のみなさんも、多くが、この傾向を

仕方ないものととらえているようです。


この結果は、たとえば、築40年を越えたマンションで、

窓サッシの更新工事をペアガラス化で計画する場合でも、

この提案の際に、

「うちのサッシはまだ壊れていない、高額の費用(戸あたり100万円程)を

負担して、全体の工事は必要ない。お金があるのなら修繕積立金を下げろ」と

大声で言ってしまう区分所有者もかなりの数でみられるようです。

そして、これが怖くて、その時の理事会が、管理会社が

ひるんでしまっていることもあるようです…


ですが、こういうことを言っている方の部屋でも、

サッシの劣化は進んでいて、閉じていてもなんとなく隙間風が入って来たり

強風が吹けばカタカタと音がしたりしているのです。

ただ、開閉は(重くても)できて、出入りにも支障なく、

というだけという実態だと思います。

ただ、そのマンション内の一部の部屋では、サッシの状態が

もっと深刻になっている場合もありますし、残念ながら、

築50年前後になれば、かなりの部屋でサッシには不具合が出てきます。

その時になって工事をすればいいって、

ほぼ全部の部屋で具合が悪くなるまでは、それは70年~80年と

かかってしまうでしょうし、

いま70歳代の居住者が、「20年後にサッシを快適にしますから、

毎月1万円づつ積立金を積みましょう」って言われても、当然に

賛成なんかしてくれませんね。


でも、こういう問題を「うちのマンションにはないこと」

として、毎年の理事会が申し送っていく体質があるからこそ、

そこには、「役員なんかやりたくない」「どこかいいところがあったら

賃貸でもいいから引っ越そう」とか考える区分所有者が増え、

そして、全てを管理会社のせいにして逃げようという雰囲気になるのです。


こんなマンションに「長寿命化」と言っても、

近い将来にそこに住む人がほとんどいなくなることくらい

容易に考えられますよね。

こういう問題について、これから何回か、書いていきたいと思います