2019年12月3日火曜日

豊かなマンションライフのイメージ(管理不全への不安の払拭④)

マンションは「区分所有」という一つの所有関係です。ですが、日本の現状でのストックは650万戸以上。もはや「特別な」所有関係ではありません。そして、マンションの建物は区分所有部分だけではなく共有部分も相当に存在します。ここまでは、マンションを所有されている方は理解されています。
ですが、権利関係についての理解が十分でないから、マンションの所有(居住)は、コストの安い賃貸(レンタル)だと考えてしまうのです。

確かに、不動産の取引(価格設定)においては、原則として建物の価格は全て、その建物の区分所有部分の価格として分けられています。共用部(規約共用部は少し違います)は原則として単独で取引されない以上、当然、そこに建物の価値の一部を割り当てることはできません。このためですが、でも、現実に共用部に価値が無い訳ではありませんよね。
そして、土地(共有)の価格についても、多くはここに分割して付加されています。土地を単独で取引することができない以上、今の日本の常識では「価値0」ですから。

この「価値0」は、単独で取引ができないからの「価格0」であって、本当に建物共用部や土地が「0円」の価値しかない訳ではなく、これが、区分所有建物の価格を作っているのだということは再認識して欲しいと思います。そして区分所有部分の価格形成のうちの結構大きな割合を占めていると思います。

ですので「共有建物と敷地の管理」という活動(管理組合の目的)は、マンションの区分所有者にとって、他人の財産の面倒な管理作業を引き受けているという事ではなく、自分の大切な財産(区分所有不動産)の価格の大きな部分を保つ(というか形成する)活動をしているという意識を強くしないといけません。そして、この「管理」を他の区分所有者を含め他人に任してしまう(いろいろな作業を依頼するということではなく「意思決定」を、です)ということは、「財産を持つ人」は決してやってはいけないことです。もちろん、この立場をしっかりと理解して、他人に「委任」するのは自由ですが、これは「他人事」ではないということです。

もちろん、立場を変えて、管理組合の役員を引き受けている人たちにとっては、マンション管理のすべての決定権を委任されているのではなく、各区分所有者の各人の意思決定(基本は多数ですが)に従って、様々な管理についての「決定」を行わないといけないのです。そして、この組合員の意向は、時とともに大きく変化もしています。昔のように、「不動産は何もしなくても価値がある」という状況ではなくなっています。安易に10年以上前の規約に準拠しようとしたり、設備や環境の現状維持だけを考えていたら「負の価値」にもなる可能性があります。

こういった認識を、区分所有者のほぼ全員が持ち、その意向に従って管理組合の役員がしっかりと管理すれば、多分「管理不全マンション」と呼ばれることはないでしょう。管理組合の役員はスーパーマンではありません、神様でもありません。別に普通の人です。特に特別な「資格」ではありません。何もしなくて組合員の多数が納得できる「提案」も「決定」もできるわけがありません。もちろん管理会社に丸ごと頼めばいい訳でもありません。

そうです、組合員全員が自分のできる範囲で「管理」に積極的に参加して(いまはネット参加も当然「あり」です)、意見交換し、必要なことを行っていく。目先の利益追求(高齢の区分所有者が「あと5年暮らせれば、あとは知らない」などと堂々と主張することも含め)や、自分だけの抜け駆けは許されない。この意識さえ保てれば、おそらく模範的な「適正管理のマンション」を実現できるでしょう。必要な情報開示と、他のマンションとの意見交換も自然にできるようになります。なぜって?「自信を持って誇れるマンション」だからです。当然ですが、役員の人材も現れてくるでしょう、そんなに負担を感じないで務まるはずですから。それでも、自信がなければ、外部の専門家に意思決定の支援に加わってもらうのも一案になりますが…

ということで、少し長くなりましたが、今日は…

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