2019年6月7日金曜日

マンションの「解消」について…

先日、新聞の記事に、あるリゾードマンションの解消(建物解体、管理組合解散、そして土地売却まで)の一連の手続きが完了したとありました。

結構大きく取り上げられていましたが、多分、多くの方は、リゾードだから、そして30数戸の小型のマンションだったから、「自分達には関係ない」と思われているかもしれません。そして、その記事で気になったのは、1戸あたりほぼ100万円の修繕積立金があったので、解体費に充て、そして土地売却手続きまで進め、「持ち出し」はなかった、と。

大変な誤解ですよね、「管理費の繰越金が…」だったら、「持ち出しはなかった」と言ってもいいのですが、「修繕積立金はあったのに、解消後何も残らなかった」だったのです。修繕積立金ってひょっとして支払済の補修費用たと思っているのでしょうか。
もちろん、読まれている皆さんには「おかしい」と思われると思います。

そうです。「修繕積立金の残高」というのは、これからの建物等の維持管理、そしてできれば改良工事に充てるべき資金です。場合によっては建替え原資の一部にもなるものです。いうなれば、これは「管理組合の組合員の皆さんの貯金」なのです。そして、解消には、これが全部吹き飛んでしまった、ということなのです。(手を離れているから、既に目的に使われてしまっている、というものではありません)
そうです。このケースでは、「解消」のために1戸あたり100万円を持ち出した、と言う事なのです。そして、事実として、この手続きに加わった業者さんに「利益」としても持って行かれているのですが。

そして、識者の意見として、マンションには「解体積立金とかが必須です」とか、記事を書かれている方は誤解されているわけではありませんでした。「持ち出しがあった」事実は認識されているようです。

「定期借地権マンションで、地主の方が絶対更地返却だ」と言われているならば、そうです、多分この「解体積立金」は必要でしょうが、所有権マンションであれば、そして組合員の皆さんの合意に基づいて、きっちりと管理し、補修(改良)を進めていけば、100年でも維持できるのに…
「修繕積立金を十分に持つ」なら納得できるでしょうが、所有権マンションで「『解体積立金』が必要です。月に2万円です」なんて言われたら、そんなマンションを持ちたいと思いますか?こんなの資産じゃないですよね!改修工事にも、そこから支出出来ないんですよ。

もちろん、この問題も、別に誰かマンションの所有に関係ない人や会社が決める事ではありません。当然のことなのですが、管理組合で自分たちの合意で決めるものなので、別に、こう決めるのは自由です。しかし、こう決めざるを得なくなるなら、それは「管理」の失敗なのです。

では、これは、リゾードの小型のマンションだけの問題でしょうか?
いえ、大都市近郊の高経年マンションでは、実は、もっと差し迫っている問題なのです。いわゆる「管理不全マンション」の問題です。住環境の整備、建物の維持管理は、総会決議があれば出来るものではありません。日頃の区分所有者の皆さんの将来に向けた展望の忌憚ない討議と、十分な計画、そして適時の改修工事が、ちゃんとつながらなければ、結果はその「管理不全マンション」になってしまうのです。改修工事の費用がないわけですから、当然、一時金持ち出しでの解消しか見えなくなってしまうのです。

リゾードで、そこを住居にしていた人も少なく、土地も安く、時間をかけてもよかったから、実はこういう結果で終えられた、というのも実態でしょう。郊外の大型マンションだと、敷地にまだ「価格」があるからこそ、そして、住み替えざるを得ない人は急ぐから、そして、持ち主の所在まで不明なケースも出ることから、そうです、当然土地売却は難航します(たぶんできないでしょう)。解体すら合意できないかもしれないのです(議決権の不足で)。そうです、これは、今の管理に不安のあるマンションにはとても身近な問題だったのです。当然、高経年でなくても…

「もう建替えはできない」、「修繕費は積み立てられない」、「管理費は(先を考えず)とりあえず安くしよう」という方向に向かっているマンションでは、不可逆的な課題になってしまうのです。

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