2021年4月3日土曜日

高経年マンションの持続性について②

 前回、特に高経年マンションを中心に、

住環境や費用負担の問題で、長期的な展望が出来ず、

結果的に管理組合運営に真剣にかかわれなくなっていることに

触れましたが…


マンションを、これから30年40年と維持していこうとするには、

そこに住む人たちの多数(過半数では足りなくて、2/3以上位)が、

自分達が暮らすマンションに誇りを持ち、そして、積極的に

住環境を改善していこうという意欲と、

そのためには、管理組合の運営に積極的にかかわってもいい

という前向き、というか「共助」意識の基礎を持つことが必要です。


マンションの将来のことは、管理会社が適当に決めてくれるから、

自分達は目先の苦情だけ言って、あとは個人の目先の負担軽減だけを

考えればいい(この負担は必ずしも金銭的なものに限りません)、

というところにベースがあります。

そして、残念なことは、このベースの意識が、

その時々の輪番の理事長が、目の前に出された、誰かが作った契約書に、

黙ってハンコを押してしまうことにつながるのです。


その結果、修繕積立金の大幅な値上げなど、

区分所有者のみなさんにとって苦痛となる議案が

総会で多数の委任状に従って、賛成多数で簡単に可決されてしまうのです。

もともと多くの区分所有者の方は、総会議案なんかは

真剣には読んでいませんから、

そして、前の輪番の理事長さんは、

議場で初めて、その議案の持つ重要な問題に気がついても、

現実には、ここに上程されたことへの責任を負うことが嫌だから、

管理会社側の言いなりで、平穏に可決し、役員任期を終えようと

考えてしまうのです。

別に、人間として当然の行動なのですけれど…


当然ですが、区分所有者の中に、将来管理組合の理事に

積極的に手を挙げていいかな、と考えている人がいたら、

こういう総会に出席したら、

多分、その組合の役員に…

という意識は瞬時に飛んでしまって、ここにいてもしょうがないと

感じてしまいますよね。

もし手元に資金があれば…

急いで他のマンションに越して行こうというように

考えるかもしれません。


この傾向が、たとえば10年続いたら、

そのマンションの将来は、「管理不全」化が

ほぼ約束されてしまいます。

そして、住民の多くは、ウチは、管理会社がしっかりしないから、

仕方がないんだ、とあきらめて、

あるいは、敢て次の役員に立って、管理会社を強引に

替えてしまおうという運動起こしたり…

でも、組合員の意識がはっきりしない管理組合の業務を、

どんなに素晴らしい管理会社が引き受けたからと言って、

ほぼ各組合員が求めている条件や価格を飲んでくれる保証はない

というか絶望的な期待になってしまいます。


そして、多くの区分所有者の不満と絶望に繋がってしまい、

管理組合内での変な勢力争いや、さらなる責任放棄に繋がったり、

より深刻な事態に進んでしまうのです…


このような状況に陥らないためには、

各区分所有者の皆さんに、管理組合の活動に積極的に

加わってもらうしかないのです。

私のようなマンション管理士としても、

「良くなりたい」という意識と、ある程度の方向性を示していただける

マンションでないと、支援することは困難になるのです…


では、マンションの中で何をすれば、

それは、「管理」の問題に取り組むことを

「楽しい」こと(決して「楽(らく)」に、ではなく)に

していくことなのですが、

ここからは次回に…