2020年2月28日金曜日

マンションの管理不全問題で考えること

ようやく書き込みの時間が取れました…

高経年のマンションの増加は続いています。一方で、国等が押している
マンションの建替えは一向に進む気配ではありません。
でも、では高経年マンションで、今後の方向性をまとめることについても
なかなか合意が作れるかというと、そうでもないようです。

ただ、多くの高経年のマンション(特に公団等が分譲した団地)では、
「建替えしない派」はもちろん多数を占めているようですが、
少なくとも、最小限の工事実施で現状を維持するだけでは、当面80年~100年
まで、マンションを維持することも難しいということが理解されるようにも
なってきたようです。もちろん、落ちこぼれれば「管理不全」ですよね。

マンション管理に関しては、昨年から引き続き「管理不全」の問題が
大きくなっています。建替え、長寿命化改修の課題も、
基本は同じくくりであって、このあたりを包み込んでということですが。

この「管理不全問題」について、先日、次回の日本マンション学会の
大阪大会に向けた原稿を何とか仕上げたのですが、
その中で少し感じたことがあります。いくつかの団地型マンションの
空家リスクについての状況を扱ってみたのですが…
そこに見えてきたことが…

もちろん、築50年ほどの各団地マンションは、現在はまだ「健全」に
管理されています。よく言われる配管設備の改修工事もきちんと進んで
いるようです。でも、これだけではマンションの将来が、
当然安心できるものではありません。

これらの団地マンションでは、現在の組合役員の皆さんは、多くが
昭和の時代から、「永住できる(住みごこちのいい)マンション」を
目指して、長年(もちろん連続ではないことが多いですが)役員を
努められ、その団地の隅々まで把握されている方々です。

その皆さんが把握されている現況は…
「マンションの区分所有者の皆さんの高齢化」「特に若い世代からの
役員のなりて不足」「マンション管理に興味を持つ人たちの減少
(総会で特別決議事項が可決できない」そして、何より、「頼りになる
参考事例が把握できていない」ということです。経験豊かですから、
この点は正確に理解されています。

ただ、ここの問題に対する「適切な回答」というか、
模範的な対策が成功している事例はほとんどありません。
従って、過去に「団地の優等生」と言われるぐらいに、
環境整備を実現された皆様には、特に自信があるがゆえに、
昔の、「とにかくやってみよう」という姿勢が取れないのです。
「失敗すること」が怖くなっているのです。そして、30年前と違って、
今から30年後の生活を、70歳を超える方が多数を占める理事会では、
具体的にイメージすることも難しいのです。

それでも、将来の答えは必要です。
「建替え」か「きちんと改修、アップデートしての長寿命化」か、
あるいは、悲しけれども「負担を伴う解消か」…
残念ながら、改修費を押さえて(現状維持以下、劣化、陳腐化を認めながら)
それでも、あと30年、50年存続することは、ほぼできません。
建物は持っても、住む人がいなくなるのです。

これが現実なのかなと感じました。
もちろん、対応方法はあると思います。
「初心に帰ること」なのですが、この続きは、また書こうと思います。